AIアニメの新たな船出ーAI活用の株式会社Creator’s Xが、アニメ制作会社・K&Kデザインを子会社化。資金調達額は1.1億円

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株式会社Creator’s X(本社:東京都品川区、代表取締役Co-CEO:藤原 俊輔 / 湯浅 義朗)は、クリエイターの創造性をAIがアシストし、高品質な作品を創るアニメ制作会社として本格始動することを発表。これにより、XTech Ventures と寺田倉庫株式会社から合計1.1億円の資金調達を第三者割当増資により実施し、AIアニメ制作のパイオニア的存在の株式会社K&Kデザイン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:吉川 秀司、以下「K&Kデザイン」)の発行済株式を100%取得し完全子会社としたと発表した。

美術監督には、『ガールズ&パンツァー OVA 劇場版』の背景美術を担当するなど実績も豊富な大石 樹氏を迎え、背景美術の制作スタジオ「スタジオSAIGA」を新設。兼ねてより共存の是非が問われていたAI×アニメの新たな時代が幕あけようとしている。

業務負担の大きい部分をAIに。創造性と作風はクリエイターに。

「AIアニメ」と聞くと、すべてがポジティブな意見ではないのが実情だ。生成AIが登場した当初は「もうアニメはAIが全部作れるのでは!?」という憶測もあったが、権利問題やそもそも表現の幅に限界があったりと、何かと物議を醸しがちなトピックスにもなっている。

しかし、今回のAI活用アニメは、クリエイターの制作環境の整備や効率的なアニメ制作の一助になる可能性を含んでいる。業務負担が大きい制作工程にAIを補助的に活用し、クリエイターが描き込みや挑戦に集中できる制作環境を整備することを目標としており、また、アニメ制作とAI開発を社内に併設することで、クリエイターの作風を学習した精度の高いAIツールを本人専用の形で提供し、アニメ制作工程の効率化を目指す。

人の創造性を生かしたうえで、物量が多い工程をAIに任せる。またAIが学習したノウハウを学ぶことで、クリエイターはより自身の創造性を膨らませる…。結果として、高品質なアニメ制作と短納期化を実現され、クリエイターの待遇改善にもつながる可能性がある。

らんま・宇宙戦艦ヤマトなど、豊富な政策実績を持つ株式会社K&Kデザインを完全子会社化

今回完全子会社化となるK&Kデザインは、2001年創業の名古屋のアニメ制作会社。これまで『らんま1/2』(原画担当)、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(CGアニメーション)など数多くのアニメーション作品に参加している一方、早くからアニメ制作にAIを活用してきた実績があり、経済産業省「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」のオブザーバーとして取締役 川上博が参加するなど、AIアニメにおけるパイオニア的存在でもある。

↑実際にAIを活用したアニメ作品より

株式会社K&Kデザインの代表取締役、吉川 秀司氏は《K&Kデザインのクリエイターが蓄積してきたアニメ制作の実績と、スタートアップであるCreator’s Xがタッグを組んだことに私たち自身がワクワクしています。今後、K&Kデザインはもっと創ることに没頭し、素晴らしい作品をどんどん世に送り出していきたいと思います。》としており、他媒体のインタビューでも答えているように、著作権・人権問題としてあげられるAIについて、【盗まないAI】を用いたアニメ制作をいかに実現するかに尽力してきた人物でもある。

新スタジオ・SAIGAには、ガルパン背景美術の大石樹 氏がジョイン!

今回新設されるスタジオSAIGA『ガールズ&パンツァー OVA 劇場版』など背景美術で実績豊富な大石 樹を美術監督に迎え、AIを活用する背景美術の制作スタジオ「スタジオSAIGA」を社内に設立。

背景美術はどのアニメにも欠かせない要素である一方、専門のスタジオの数が少なく、クリエイターの後継者不足が深刻になっている。AI活用のCreator’s Xが専門の背景美術スタジオを持つことで、K&Kデザインなど、他のアニメ制作スタジオの背景美術もサポートしていく方針だ。

以下は大石樹氏のコメントを抜粋

スタジオSAIGA 美術監督 大石 樹
作品に奥行きと深みを与えるという背景美術の魅力に惹かれ、アニメやゲームなどの背景制作に長年携わってきました。背景美術は作品の世界観を支える重要な要素であり、需要とクオリティーへの期待が年々高まる一方、若手の育成が追いつかず、人材不足が深刻な課題となっています。しかし、生成AIの登場によって背景美術の制作手法に大きな変革が訪れました。この革新的な技術を活用すれば、短期間で高品質な背景を生み出し、従来の制作フローを大きく改善することが可能です。私はこの新しい技術を積極的に取り入れ、アニメ業界の未来を切り開く一助となるべく最前線で挑戦を続けています。スタジオSAIGAでは、伝統的な背景美術の魅力を守りつつ、進化する技術を融合させ、新しい価値を創造していきたいと考えています。

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何かと物議に上がりがちな、AIとアニメの融合。権利者が守られ、人の創造性が遺憾なく発揮され、なおかつ単純作業や物量をAIが補うことで、労働環境と制作クオリティが向上する…そんな理想形の本当の船出になることを切に願うばかりだ。

〇引用元
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000147544.html

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